見積りの妥当性(1)
下請け会社に強制的にコストダウンを求め、下請け法違反となって検挙される記事が散見されます。行き過ぎた指値をしていると感じていますが、そもそも、皆さんは、発注前に取得した見積書をどのようにして妥当と判断していますか?
本日のテーマは、「見積り」です。
一言で言うと、経験が物を言う、という世界かもしれませんが、環境変化が激しい昨今で、「経験」と言ってもどうなんでしょうか?
私の業務スタイルも交えながら、出来ていること、出来ていないことも含めて、触れていきたいと思います。
(1)複数の候補会社から見積書を取得し、比較する。
相見積もりと言われる世界ですね。
メリット:金額の大小関係は、わかりやすい
注意事項:apple to appleで比較できる条件になっていることが大前提
ということで、要求仕様書、要件書といったように発注主が請負業者にお願いする書類を念入りに準備し、誤解が生じないようにする手間がかかることがデメリットかもしれません。
結構、これ大変なんですよね。
発注主が要件定義が出来ていない部分は、費用を算出できません。要件定義出来ている条件に対しては安価に提示し、要件定義できていない部分は、別途発注が必要となる仕掛けを請負業者が入れるケースがあります。
具体的には、定期的なメンテナンス対応が必要なシステム製品は、そのシステム製品を導入することの要件は記載をするものの、導入後の諸費用について触れていないと上記の罠に引っ掛かります。
定期整備、ソフトウェアのメンテナンスリリース、設備更改、問い合わせサポート等が該当します。
最初は安価と感じてもらい、メンテナンスで利益を上げるケースですね。
また、こういった導入後の対応(ここでは、便宜的に保守対応と言います)については、半年とか1年といった単位で契約を締結することが多いですが、ここにも罠が潜んでいます。
それは、値上げです。
保守対応は、システム製品を維持していくためには不可欠です。
値上げに応じないと保守対応しません、というある種の脅迫に近い話が出てきて、やむなく、高額な契約を締結しなければならないことがあります。
このような事態を回避するための策は、また、別の機会で触れることにしましょう。
(2)特定の1社から見積書を受け取り、契約を行う。
所謂、随意契約ですね。
必要なことは(1)で記載したことと同じです。
要求仕様書や要件書を明確にしておかないと高額に陥りやすいです。
特定の1社が決まっていますので、要求仕様書や要件書の案を請負業者に作成してもらい、その案を参照して、発注主の要件書として利用することも可能です。
請負業者が作成しますので、出来ることと出来ないことをわきまえながら記載されますので、そこまで無理難題な内容にはなりません。一方、これが曖昧な内容となっている場合、例えば、成果物が不明確な場合、請負業者にはその案件を担う資質がない、もしくは、請負業者は下請け会社に丸投げしているかもしれませんので、要注意です。
ちょっと長くなりましたので、本日は、一旦、ここまでしますね。
【本日の振り返り】
・見積りは要求仕様書を準備することから。
・隠れた罠に注意しよう。